Low Complexity Communication Codecs (LC3/LC3plus)

LC3及び LC3plus オーディオ・コーデックは、Bluetooth、デジタルコードレス電話規格 (DECT)などの現代のワイヤレス通信プラットフォームで生じる極めて本質的な弱点を解決するために開発されました。これらコーデックのオペレーションモードは最適な音声伝送用に中ビットレートからハイレゾリューション音楽ストリーミングサービス(LC3)用に高ビットレートまでの範囲にわたります(後者はLC3適用)。同時にコーデックは、低遅延、低計算複雑性、低メモリーフットプリントで機能します。

 

課題

VoLTEサービス用に設計された3GPP Enhanced Voice Services (EVS) オーディオ・コーデックを導入したことで、携帯電話に超広帯域(SWB)の音質がもたらされ、ユーザーはまるで話し相手と同室にいるように感じます。とはいえ、これまで携帯電話ユーザーがDECT電話やワイヤレス・ヘッドセットユーザーに電話を掛ける場合、この高音質を届けることができませんでした。

音声面では、最近発表したハイレゾ音楽ストリーミングサービスが透明な音質でまったく新しいリスニング体験を提供しています。ところが、これまでのところ、例えばワイヤレス・ヘッドフォンやスピーカーへのワイヤレスリンクを介したこの高音質の伝送に関するオープン規格は存在していませんでした。

結果として、低複雑性コミュニケーションコーデックLC3及びその同根のLC3plusがフラウンホーファーIISとEricsson社で共同開発され、Bluetooth、VoIP、DECTなどのプラットフォームで超広帯域の電話を受けることができるほか、ワイヤレス・ヘッドセットやスピーカーに高品質のオーディオ・ストリーミングを提供することができます。

当社のソリューション

LC3およびLC3plusは、高音質を通信エコシステム全体に拡げるものです。コーデックの複雑性は、Bluetooth、DECT、VoIP端末装置などのワイヤレス通信プラットフォームの必要条件を満たしています。LC3およびLC3plusは、過去実績のあるコーデックに比べ所定のビットレートをおよそ50%削減することで、バッテリー寿命を延ばし、小型化された製品の開発を可能にする、低エネルギーのサービスを促進しています。柔軟なコーデック設計のおかげで、アプリケーションは、音声サービスに限らず、高品質の音楽ストリーミングにも広げることが可能です。

LC3plusは、ワイヤレスのアクセサリにもハイレゾ音楽ストリーミングサービスの音質を提供する標準化されたソリューションであり、所有権と販売業者独自の技術に依存しにくくなっています。

 

LC3

LC3では、VoLTEの電話サービスで、Bluetoothのヘッドセットを介してでも、EVS通話品質の実現が可能になります。それに加え、ワイヤレス・アクセサリで次の段階の音楽ストリーミング体験を実現します。LC3仕様はBluetoothSIGに採用され、LC3はBluetooth Low Energy(LE)オーディオの新しいコーデックとして選ばれました。並行して、過去に実績のあるハンズフリープロファイル(HFP)への機能搭載も開始されています。

 

LC3plus

LC3の同根であるLC3plusは様々な追加機能を備えています。さらに、LC3plusは、伝送のロバスト性、超低遅延のユースケース、ハイレゾ音声伝送を実現する機能を実装しています。ロバスト性を向上させるため、LC3plusには、超高性能のパケット損失補間処理(PLC)アルゴリズムに加え、チャネルコーディングや冗長性フレームモードなどの前方誤り訂正方式が含まれます。さらにコーデックは、いくつもの低遅延モード、2.5msパケットサイズで5msまで下げて機能することができます。またLC3plusには、測定可能な音質を(チャネルごとに最大500 kbit/sの)知覚透明性を超えて向上させる、専用のハイレゾ音声モードなどもあります。

LC3plusは、地上通信線用のEVSに匹敵し、VoIPユースケース用に超広帯域の品質を提供しながら、広帯域の場合と同じチャネル数を維持しています。冗長性フレームモードにより、混雑したVoIPチャネル上でLC3plusのペイロードデータが伝送できるため、こうした諸条件下でも、安定した通話が可能となります。

LC3plusは、ETSI(欧州電気通信標準化機構)によってTS 103 634として標準化され、2019年のDECT規格に採用されたため、DECTに超広帯域の通話や音質をもたらしています。広帯域については、前述の規格と比べて容量が2倍に増えています。ロバスト性の観点では、DECTチャネル特性用に特別設計された、LC3plusのチャネルコーディングは、ひどくひずんだDECTチャネル上でのLC3plusのペイロードデータの伝送を認めており、たとえハンドセットが基地局から遠く離れている場合でも、中断されることなく通話できます。

LC3plus専用のハイレゾ音声モードは、24 bitで96 kHzの音声データの高品質な伝送リンクを提供します。これにより、ヘッドセットやラウドスピーカーなどのハイレゾ・ワイヤレス・アクセサリに透明性の高いオーディオ・ストリーミングを提供する理想的なコーデックを実現できます。LC3plusは、ハイレゾ・ワイヤレス・ヘッドセットとゲーム用高品質ヘッドセットを対象とした唯一のオープン規格のオーディオ・コーデックです。フラウンホーファーIISは、BluetoothA2DPプロファイル系機器へのLC3plusの実装サポートを提供できます。

 

提供状況

 

LC3

Bluetooth仕様はこちらから入手できます。

Bluetooth対応のLC3ソフトウェアは、フラウンホーファーが提供しています。さらに、フラウンホーファーIISは、Bluetooth標準のLC3への拡張機能として高性能のパケット損失補間処理(PLC)のソフトウェアとライセンスを提供します。

 

LC3plus

LC3plusのソフトウェアはETSIから提供されます。

ETSI TS 103634: LC3plusのアルゴリズムに関する詳細説明は、こちらから入手いただけます。

また、フラウンホーファーIISは、Bluetooth A2DPプロファイル系機器でのLC3plus HRの実装サポートを提供できます。当社のWebサイトでは、Bluetooth A2DPを介してベンダー固有のコーデックとして使用するための仕様を提供しており、要求に応じて、BluetoothA2DPを介してLC3plusHR用のAndroidパッチも提供しています。

ソフトウェアライセンス、特許ライセンスにご関心がございましたら、以下のフォームにご記入ください。

 

特許ライセンス

LC3/LC3plus特許ライセンスに関する情報はこちらから入手できます。

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