xHE-AAC

拡張HE-AACとMPEG-D DRCを組み合わせた、最新世代のMPEG AACコーデックファミリxHE-AACは、会話とオーディオコーデックの隔たりを埋めてくれます。モノラルでは最小6 kbit/s、ステレオでは12 kbit/sから、最大320 kbit/s以上までのあらゆるビットレートで、会話、音楽、混合コンテンツなどすべての信号に一貫して高品質なオーディオを提供します。このためxHE-AACは、デジタルラジオと適応型ストリーミングアプリケーションにとって選りすぐりのオーディオコーデックとなっています。xHE-AACは、デジタル・ラジオ・モンディエール(DRM)、Google社製Androidオペレーティング・システム、Apple社製iOSで必須のオーディオコーデックです。

適応型ストリーミング

xHE-AACは、元来適応型ストリーミング用に作られました。つまり、xHE-AACが持つビットレートの柔軟性により、MPEG-DASHまたはHLSストリーミング・アプリやストリーミング・ラジオ・プレーヤーを非常に低いビットレートのストリームに切り替え、厳しいネットワーク環境でも連続再生することができます。ネットワーク接続が回復すれば、xHE-AACプレーヤーは高ビットレートに適応して、あらゆるビットレートでシームレスに切り替わります。さらに、xHE-AACが持つ抜群のコーディング効率のお陰で、ビットレートの節約が携帯用動画ストリーミングの画質向上につながります。

音量調節およびダイナミックレンジ制御

MPEG-D DRC、つまり音量調節およびダイナミックレンジ制御(DRC)は、xHE-AACが一貫した音量でコンテンツを再生する強制音量調節を提供し、プラットフォームや環境に関わらず、ユーザーに最良のリスニング体験を提供するダイナミックレンジ制御調整を行います。

xHE-AACの互換性

xHE-AACプロファイルのデコーダーは、AAC-LC、HE-AAC、HE-AACv2など全種類のAACをデコードすることができます。従来の高めのビットレート・ストリームを補完することで、xHE-AACストリームを現行のエンコーディング・ワークフローに簡単に組み込むことができます。

xHE-AACは、その特別な機能により、さまざまな種類の音声コンテンツをきわめて低いビットレートで伝送する必要があるデジタル・ラジオやモバイル向けの音声・動画ストリーミング・アプリケーションの要件を難なく満たしています。

ストリーミング

xHE-AACは、モノラルで6 kbit/sから最高のステレオ音質までのビットレートが可能な最新鋭のオーディオ・コーディングです。メタデータから生成されるラウドネスやDRCを実行することで、あらゆるデバイスを対象に目指すラウドネスレベルで音声ストリームを生成し送ることができます。低ビットレートではコンテンツ配信ネットワーク（Content Delivery Network: CDN）維持費を大幅に削減します。このコーデックは、今なお2G、3Gネットワークがかなり多く存在する新興市場や、主要都市の非常に混雑した4G、5Gネットワークや膨大な通信量が日常化している地域のユーザー数十億人に届く可能性を切り拓いています。

ライブ番組

コンサート、スポーツイベント、ニュース配信などライブストリーミング番組のエンコーディング用としてxHE-AACにはライブ配信用の自動ラウドネス (Live Automatic Loudness) 機能が備えられています。これにより、ライブ信号のダイナミックレンジとラウドネスのトランジェントの大部分を保ちながら、ライブ信号に対して全自動でユーザーの操作を必要としないラウドネスコントロールを提供します。ライブコンテンツは、他のxHE-AACコンテンツと調和するラウドネスレベルでxHE-AACデコーダにより再生されます。この機能はxHE-AACエンコーダに完全実装されているので、ユーザーが調整する必要はありません。

DRMでのxHE-AACの使用

デジタル・ラジオ・モンディエール(DRM)は、xHE-AACを採用して(2013年から義務化した)業界初のデジタル・ラジオ規格であり、その機能のメリットを享受しています。xHE-AACは、これまですべてのDRM伝送に使用されているMPEG HE‑AACのスーパーセットであるものの、HE‑AACも既存のシステムとの互換性を保つDRM標準のひとつとして引き続き利用できます。DRM放送事業者は、xHE-AACを用いてあらゆる種類のコンテンツに対して同一のコーデックを使用できるため、簡素化されたコーデック構成プロセスから以下のメリットが得られます。エンコーダーはすべての品質関連パラメータを自動で最適化するため、放送する音声コンテンツの種類に応じて構成設定を変更する必要がなくなります。さらに、コーデックが要求するビットが減ることで、幅広い音声プログラムの配信が可能となります。

DRMおよびストリーミング・アプリケーション用xHE-AACコーデック実装は、以下のプラットフォームで利用可能です。

• PC (Windows/Mac OS X/Linux)
• ARM (decoder only)

フラウンホーファーのContentServerテクノロジーをベースにしたDRM放送エンコーダー・ソリューションのほか、サードパーティー実装もすでにxHE-AACに対応しています。量販市場向け初期世代に属するDRM受信機チップセットはすべて発売当初からxHE-AACを搭載しています。

弊社の開発デザインキットに関する詳細情報はプラットフォームページをご覧ください。

Fraunhofer ソフトウェア実装

弊社のソフトウェア・ライセンス取得にご興味ございましたら、以下の申請フォームに（英語で）ご記入いただきご送信ください。

弊社以外のソフトウェア提供事業者

xHE-AACのエンコーダとデコーダは、直接フラウンホーファーから入手いただけるほか、フラウンホーファーxHE-AACコーデックライブラリを実装した以下の製品があります。

• MainConcept(R) AACファミリSDKとFFmpeg プラグイン
• Windows独立型アプリEZ CD Audio Converter に含まれるPoikosoft xHE-AAC Encoder
• デジタル・オーディオ・ワークステーション(DAW)用のSonnox Fraunhofer Pro-Codec リアルタイム・コーデック聴覚プラグイン

特許ライセンス

xHE-AACは、Via Licensing Alliance社が管理するAACパテントプールライセンス許諾プログラムに含まれています。詳細については、https://www.via-la.com/ をご確認いただくか、contracts@via-la.com までご連絡ください。

xHE-AAC is a registered trademark of Fraunhofer in Germany, the United States and other countries.